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喘息治療は症状がない時こそ継続が大切です

2026.08.13

―抗ロイコトリエン薬 (シングレア:モンテルカスト、オノン:プランルカスト)を中心に考える長期管理の重要性― 

「最近は咳も出ないし、吸入薬も使っていないから治ったと思う。」

外来でこのようなお話を伺うことは少なくありません。しかし、気管支喘息は高血圧や糖尿病と同じように、症状が落ち着いていても気道の炎症が持続している慢性疾患です。症状がないことと、病気が治癒したことは同じではありません。

日本アレルギー学会の「喘息予防・管理ガイドライン2024JGL2024)」では、喘息の本態を「慢性気道炎症」と定義しています。喘息患者さんでは、症状がない時期であっても気道の粘膜に炎症細胞が存在し、気道過敏性が残存していることが知られています。そのため、自己判断による治療中断は、再燃や重症発作の大きな原因となります。

症状がなくなっても喘息は治っていない

喘息は季節の変化、風邪、花粉、疲労、ストレスなどを契機に急激に悪化することがあります。特に、これまで安定していた患者さんが治療を自己中断し、数か月後に夜間発作や呼吸困難で受診されるケースは少なくありません。

ガイドラインでも、喘息コントロールが良好であっても、長期管理薬を自己判断で中止することは推奨されていません。治療の目的は「症状をなくすこと」だけではなく、

・将来の増悪を予防すること
・肺機能の低下を防ぐこと
・救急受診や入院を避けること
・日常生活や運動を制限なく送ること

にあります。

そのため、「今苦しくないから薬をやめる」という考え方ではなく、「今苦しくない状態を維持するために治療を続ける」という考え方が重要です。

吸入薬を自己中断する患者さんは少なくありません

喘息治療の中心は吸入ステロイド(ICS)です。吸入ステロイドは気道の炎症を抑え、増悪を予防する最も重要な薬剤とされています。

しかし実臨床では、

「症状がないから使わなくなった」
「吸入が面倒」
「薬がなくなっても受診しなかった」

などの理由で、吸入治療を中断してしまう患者さんが少なくありません。

海外の報告でも、喘息患者さんの半数近くが処方通りに吸入薬を使用できていないとされています。吸入アドヒアランスの低下は、増悪や救急受診のリスクを高めることが明らかになっています。

抗ロイコトリエン薬の継続にも大きな意味があります

そこで重要になるのが、抗ロイコトリエン薬(LTRA)です。シングレア:モンテルカスト、オノン:プランルカスト

モンテルカストやプランルカストに代表される抗ロイコトリエン薬は、ロイコトリエンという炎症物質の作用を抑えることで、

・気道の炎症を軽減する
・気道収縮を抑制する
・気道過敏性を改善する
・アレルギー性鼻炎を同時に改善する

という効果があります。

特に日本では、喘息患者さんの多くにアレルギー性鼻炎が合併しており、「鼻炎と喘息は一つの気道疾患(One Airway, One Disease)」という考え方が広く受け入れられています。

抗ロイコトリエン薬は内服薬であるため、吸入が苦手な患者さんでも継続しやすいという大きな利点があります。

もちろん、ガイドライン上は吸入ステロイドの代替となる薬ではありません。しかし、吸入薬の継続が困難な患者さんや、アレルギー性鼻炎を合併する患者さんでは、長期管理の補助薬として非常に重要な位置づけとなっています。

また、吸入薬の自己中断が起こりやすい患者さんでは、抗ロイコトリエン薬を継続していることが、増悪の抑制に一定の役割を果たす可能性があります。少なくとも、すべての治療を中断してしまう状態よりも、継続的に炎症へ介入できている意義は大きいと考えられます。

治療継続こそが将来の発作を防ぐ

喘息は症状が落ち着いている時期こそ、治療の真価が発揮されている状態です。

薬をやめて症状が出ないのではなく、薬を継続しているから症状が出ていない可能性があります。

当院でも、患者さんの生活スタイルに合わせて治療内容を調整しながら、無理なく継続できる治療を大切にしています。吸入薬の使用が難しい場合には、内服治療を含めて個々の患者さんに適した方法をご提案しています。

喘息は適切な治療を継続することで、多くの方が健康な方と変わらない生活を送ることができます。一方で、自己判断による治療中断は、将来の大きな発作や肺機能低下につながる可能性があります。

「症状がないから薬をやめる」のではなく、「症状がない状態を維持するために治療を続ける」。

これが、喘息と上手に付き合っていくための最も大切なポイントです。気になることや治療への不安がありましたら、自己判断で中止せず、ぜひお気軽にご相談ください。

 

森川医院では、国内外の診療ガイドラインや最新の医学的エビデンスを踏まえ、患者さんにとって「安全」「安心」「納得」の医療を提供できるよう努めています。

医療は日々進歩しています。これからも新しい知見を取り入れながら、わかりやすい情報発信を続けてまいります。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

参考文献

  1. 喘息予防・管理ガイドライン2024(JGL2024)
  2. GINA 2025
  3. O’Byrne PM, N Engl J Med. 2018
  4. Bateman ED, N Engl J Med. 2018
  5. Barnes PJ, Nature Reviews Immunology.

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